新潟から秋田までを結ぶ、特急いなほ。常磐線から転入したE653系が、2013年から担当している。
E653系はいなほへの転用に際し、各所を改造されている。外観の塗装はもちろん、耐寒耐雪仕様で足回りの形状が変わり、ひたち時代は目立たなかったヘッドサインを生かすようになった。
内装の改造で大きなポイントは、グリーン車の新設だ。ひたち時代はオール普通車だったE653系に、初めてグリーン車が誕生したのだ。
そしてその誕生したE653系グリーン車、とにかく快適でJR東日本特急で最高との意見も耳にするほど。ならば体験してみようじゃないか、ということで、秋田-新潟間の切符を買って乗り込んだ。
グリーン車全景。
今どきのJRグリーン車では珍しい1+2配置の座席が6列並び、ミニラウンジスペースまで設けられている。
座席。
座席はクッションがかなり柔らかめでフカっとした座り心地を得られる。布地感が強くて、暖かみ(?)のようなものがあった。リクライニングも深めな印象。長時間座っていても疲れを感じにくく、1人でこれだけのスペースを自由にできるというのはなかなかない。
また、パーテーションで仕切られているため、ちょっとしたプライベート感が感じられる座席となっている。
座面裏。
パーテーションで仕切られるために、座席背面には何もなし。
写真は車端部の座席で、他の座席よりもかなり広めにスペースが取られている。日程の都合上、今回は秋田→新潟の乗車だったけど、逆区間なら思い切り足を伸ばすことができるのでオススメ。
続いて装備類を見ていく。
座面裏の概念がないため、装備類は座席に仕掛けるしかないこの座席。特急車に必須のテーブルは、ひじ掛けから出てくる仕掛けになっている。
それぞれから半分ずつ、2つ繋げて横長のテーブルを組み立てられる仕組みになっている。
こちらは独特な形をしているひじ掛け。JR九州の特急らしさがあるような。
下の方にあるマルポチはコンセント。2人掛けシートでも1つしか用意がない。
枕は可動式だけど生地の摩擦を利用するタイプのもの。滑って下に下がりやすく、ちょっと不便。
大まかな装備はこれだけ。一般的なグリーン車と比べると、装備類はかなり省略されている。
最後に車端部のラウンジへ。
青基調のカーペットに木目調の壁、シートの色が派手なためか他の部分は落ち着きあるデザイン。
"乗って楽しい列車"で観られるような、必要最低限の設備が整っている。
さて、座席に戻ろう。
柔らかく疲れにくい座席と、他の車両にはない個室感。窓配置は、普通車では窓1枚に2列の座席配置であるのに対し、グリーン車では座席1列の割り当てがされており、かなり広くてゆったりしている。
そして得られるのは写真のような車窓。うーん、気分がイイ。晴れの日の乗車だったため、美しい景色を大きな窓で堪能できた。特に鶴岡~村上間は海が近くて良い。これだけの広さと大きな窓を楽しめちゃうなら乗る価値はあると思う。
良くないポイントをいくつか挙げるなら、パーテーションのおかげで足を伸ばすには制限があったことだろうか。確かに快適だけども、フットレストやレッグレストがないのは...グリーン車としては寂しい。
また、座席の装備類が少なく、マガジンポケットやドリンクホルダーは欲しいなぁと感じた。車内販売は一部区間のみしかなく、かつてあったグリーン車の車内サービス(おしぼりやドリンクなど)は既にJR東日本の全特急列車で終了している。昔のグリーン車に慣れ親しんだ人からすれば、ただ広いだけで何もない、とも言えるだろう。敢えて悪く言えばだけど。
他の車種とは異なるグリーン座席、車内レイアウトを採用した背景には、サービス内容を改めた新しいグリーン車としての実験的な意味合いが強いのかもしれない。僕個人としては嫌いじゃないけど装備類は足りてないなと感じられました。
今回はこの辺で。
|