ロマンスカーMSE(Multi Super Express)こと小田急60000形は、2008年登場の車両である。日本初の地下鉄直通対応の特急型車両で、小田急と直通運転を行う地下鉄千代田線への入線を想定して開発された。
運用では通常の小田急・箱根登山鉄道のロマンスカー運用に加え、特急あさぎりの後継にあたる特急ふじさん号としてJR東海の御殿場線へも入線する。その名の通りマルチに活躍しているロマンスカーだ。
車内全景。
MSEはロマンスカーの代名詞でもある展望席がない。ロマンスカーの形状を継いでいるがどちらかと言えばビジネス特急としての側面が強い車両となっている。
車内は観光色強めのVSEに、ビジネスの落ち着いた感じを取り入れたようなインテリア。絨毯敷きの車内は木目調と暖色系の間接照明のバランスがちょうどよく落ち着いた雰囲気。
座席。
縦に長細くスッキリしたイメージを連想させる座席になっている。
座面、背面とも硬く、リクライニングは深く倒れない。正直、座り心地は良いとは言い難く、長時間乗車ではお尻との戦いになる。在来線で座り心地が良いと言われるE233系座席の方がクッション性が高いだろう。
かなり薄めに作られている背面はまるで板。だがこれはシートピッチを広くするための工夫だそう。加えて足元、椅子の下にもある程度スペースがあるため窮屈さは感じない。シートピッチは980mm以上を確保、足元空間がスッキリ。
窮屈さがない点、車内の雰囲気はとても良いのに...座り心地が残念。
座席裏側には荷物用フックとマガジンポケット。傘立て用のバンドは列車には珍しい機能ですね~これはありがたい。
テーブルはひじ掛け収納式のロータリー型。観光特急なのにテーブルこれだけってちょっと簡素すぎないかな。
大きな窓は2列で1枚の割り当て。
座席上の照明は、荷物棚の下にレール上に設置されている。ブラインドは鉄線によるガイド付きのもの。細かい部分が洒落ていて良い感じだ。
デザイン面の良さは車端部のサニタリー周りにも。
お手洗いや妻面の扉などもボディカラーと暖色系で統一されていてGOOD。ヘッドレストカバー同様、暖簾にもMSEと刻印が入っていた。
デザインの妙か、天井がとても高くみえ車内は広々と解放感がある。
近年増えてきた"地下鉄を走る優等列車"の先駆けとなった、ロマンスカーの直通運転。登場した当時は、地下鉄を特急車両が走るのか!と非常に驚いたことを覚えている。
千代田線は通過退避施設がないため普通列車と所要時間に差はないけど、駅の停車時間が長めに取られているため、ある程度のスピードで駅を通過していく。そのシーンは外から見ても列車に乗ってても新鮮だ。地下鉄を静かな列車でゆったり走り抜けるのも、"地下鉄らしさ"が無くておもしろい。
一番は何と言っても便利。
地下鉄の端から端まで普通に乗ると結構長い。時間でいえば1時間ないけど、停車駅が多く景色が単調だから退屈に感じられる。これがロマンスカーではあっという間。面倒で退屈に思うことがない。JRの普通車グリーン車程度の追加料金で利用できるので、今後も機会があるなら利用していきたいなぁ。
今回はこの辺で。
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