この華という車両は、ジョイフルトレイン(JT)と呼ばれる種類の車両だった。JTは、主に団体臨時列車に使用するために製造、所有される車両のこと。
定義は難しいのだが、
・奇抜な外観
・車内がお座敷
・宴会用の設備(カラオケなど)がある
・窓が大きく展望が良い
などの特徴がある車両を指している。
似たような車両に"のってたのしい列車"があるが、こちらは観光列車の扱いであり、JTは少し定義が異なっている。いわば国鉄時代の名残といったようなジャンルであり、新たに生まれるジョイフルトレインはほとんどない。
この"華"は、それらJTの特徴を全て持っている車両だった。
「華」は、先代の客車JT「なごやか」の後継として1997年に登場。485系足回りを流用、車体は新造にて誕生した。JTは完全なる新造でデビューする車両はほとんどなく、こうした生まれ方をすることが多い。
JR東日本の485系JTとしては、「リゾートエクスプレスゆう」「宴」に続く3つ目の車両に当たる「華」。後に登場する「ニューなのはな」「やまなみ」「せせらぎ」でも同様のデザインが採用され、この顔つきのシリーズがJTの代表的なシルエットとなった。
ちなみに「ニューなのはな」はすでに引退、「やまなみ」「せせらぎ」は再改造され「リゾートやまどり」「ジパング」に。「ジパング」はすでに廃車となっており、「リゾートやまどり」も年内を目処に引退することが発表されている。
「華」登場後にデビューした「ニューなのはな」。2016年に引退。
「華」の引退で終了するもの、それは"お座敷列車"という形態である。団体で列車を貸し切って宴会しながら移動、というスタイルはもう時代にそぐわない。後継車種は登場せず、ここが区切りとなる。
宴会が疎まれる世の中であるけど、それ以上に、移動に時間をかける、そしてそれを楽しむ、という文化は衰退傾向にあるように思う。
今後、こういった車両は出てこないだろうと思われるが、たまに出会える希少性と魔改造の変わった電車という位置付けは、個人的に結構好きだった。
また1つ、鉄道車両のジャンルが消えてしまうのは少し残念であるが仕方ない。
そして、長く続いた485系JT、いや485系という形式そのものが、JRから姿を消す日が近づいている。
今回はこの辺で。
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