低気圧による被害はとても大きなもので、JRでは道南を走る日高本線が特に大きなダメージを受けた。
日高本線は、海岸線をなぞるように走る区間が多い。低気圧による高波によって土砂が流出し、鵡川(むかわ)~様似(さまに)間が不通区間となった。距離にして約120km、日高本線の全長150kmの8割だ。
長らく不通区間となっていた鵡川~様似間は2021年に正式に廃止が決定。現在はレールや駅舎が順次撤去されている状況にある。
低気圧による被害が顕著に表れているのが、途中駅の大狩部(おおかりべ)駅だ。苫小牧から約70km、現在の終点鵡川駅から40kmほどのところにある。今回は昨年夏に訪問した時の写真を載せていく。
車1台ギリギリ通るほどの小さなトンネルが、大狩部駅の入り口。国道235号線をくぐると小さな駅舎がある。
とても海に近く海風が強い。駅舎は風防のための待合室であるような小屋だ。消えかけているが大狩部の文字が見えた。
訪問時、すでに廃駅となっていた大狩部駅。JR北海道が管理する私有地となっており、駅ホームへの立ち入りが出来なくなっていた。
列車が来なくなってから7年、廃止から1年と少しが経っていたが、停止位置目標などの設備が残り、電話線も引かれたままのようだ。
柵の手前から、苫小牧方面を見る。
高波が一気に襲い掛かり、線路基盤を奪っていったのだろうか。土砂が流出し、海岸線に沿って敷かれたレールがぐにゃぐにゃに曲がっている。
様似方面に少し行くと、小さな川を渡る橋が架かっている。
橋の前後では土砂が流出、ここでは線路が宙に浮いた状態で放置されていた。鉄道模型の事故のような光景を直に見るとは...生で見るとかなりショッキングな絵だ。自然の猛威をまざまざと見せつけられるような体験だった
レールは見えないが、海岸線に沿って敷かれている。写真左、国道が登り坂となり始める辺りが大狩部駅。
レールが撤去されている箇所がいくつかあったが、ほとんどはそのままのようだった。が、草木が生い茂っていて視認できない部分も多く、放置という言葉が適切だろう。
元々、JRによる単独維持が困難な路線として名前が挙がっていた日高本線。被災したのは無念であるが、廃線となるのは必然だったのかもしれない。
今回はこの辺で。
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