2019年に設置されたこの板橋電留線。長らく放置されていた貨物用の側線跡を活用して誕生したものだ。利用開始からまだ4年程度しか経っていない、ひそかに開業した新路線である。
誕生した背景にあるのは、品川駅付近の再開発。その経過を辿ってみます。
以前まで山手線では、品川駅側線での夜間停泊があった。JR品川駅の西側にあった6本の留置線を用いて行われ、品川・田町発着の列車が複数設定されていた。
2016年頃から始まった品川再開発計画により2019年、この品川駅の留置線が廃止。品川での夜間留置は無くなり、大幅なダイヤ改正・運用変更を実施、終電の繰り上げや行先変更が行われた。
それまで山手線の夜間留置は、品川留置線に加えて大崎(東京総合車両センター)、池袋(旧 池袋電車区)で行われていたものの、廃止により必然的に留置線が足りないことに。そこで、山手線車両の池袋留置数を増やし、同じく池袋で留置される埼京線車両を留め置く場所を他で設けることになり、板橋の廃線跡が活用されることとなった。
いわば風が吹けば桶屋が儲かる的な話であり、品川再開発の一環と言い表しても良いだろう。こういった過程で、近年稀に見る廃線の復活劇が起きたのでした。
留置線は10両3線。途中でカーブしているのも、JRの留置線としてはなかなか珍しいかもしれない。
本線から直接分岐して入線する配線で、転線用のポイントも新たに設置されている。主に池袋発着列車が入庫。昼夜問わず車両が置かれている。
ここで1つ気になるのは、ここに相鉄車が入線するかどうか。
昨年度まで相鉄車の池袋行きを設定、ここで留置されていたので答えはイエスだ。が、相鉄車の運用はどうやら改正ごとにコロコロ変わっていて定まっているとは言い難く、今春の改正では新宿以南に限られているようす。相鉄はJR・東急の直通運転が軌道に乗るまでは落ち着かなさそうだ。
ともかく、運用に困らないよう使えていれば留置線の存在意義は発揮されたことになる。品川の開発でこんなことになるとは、なかなかおもしろい。
あと気になるのは、駅西側にある貨物線跡だろうか。セメントや食料、紙などの運搬用に複数の専用線があった遺構が今でも残っている。羽田アクセスで新たな車両増備、または運用本数拡大があれば、ここも活用されることがあるかもしれない。
現在板橋駅近辺では工事が行われており、少し騒がしく...車両増備のうわさも耳にするので、将来は本当に留置線に囲まれた駅になるのかもしれません。今後の展開を楽しみに...。
今回はこの辺で。
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