E331系は、かつてJR京葉線で活躍していた車両だ。
2006年落成、車両連結部に台車を設ける連接台車方式をJRの営業車両で初めて採用、3ドア14両編成で登場した。営業車ではあるが、連接台車などの新技術を試す意味合いが強く、京葉線でデビューしたのは路線の環境的に良かったからとされている。
自動放送やLED方向幕を初めて採用。また、TIMS(列車情報管理システム)の進化型AIMSや車軸を直接駆動するモーター、ロングシート⇔クロスシートの転換可能座席など、従来車とは異なるものも多く取り入れられた。
落成後、試験を行ったうえで2007年に営業デビュー。休日限定と運用を固定し、旅客運転が始まった。しかし、故障や不具合を繰り返し、長期の運用離脱が相次いだ。そして2011年1月を最後に運用に就くことはなく、長らく留置されたうえで2014年4月に廃車に。結果として、製造から8年、運用期間4年程度で廃車という超短命な車両となってしまった。
ちなみに、E331系の登場する前には、E993系ACトレインという試験車があった。ACトレインは同じく連接台車を履いた車両であり、新しいシステムや走行機器類などが盛り込まれた試験車だった。E331系はいわばその実験成果第一号だったのだ。
量産に漕ぎ付かなかった先行車ではあったが、ACトレイン・E331系で得られた知見で、後の車両に採用されたものも多くある。短命だが残した功績は大きな車両だった。
E331系以降、連接台車の車両はJRでは登場していない。連接台車といえば小田急ロマンスカーだが、こちらでも最新のGSEでは採用を見送っている。メンテナンスの手間や、ホームドア導入時は車両長を統一した方が良いことが理由とされている。
どうしても車両長が短くなってしまう連接台車構造では、ホームドアには不利だ。連接台車でのメリットとして、乗り心地の向上や走行音の低減、カーブの走行性能アップ、台車検査の手間とコスト減などがあるのだが、統一・効率化とホームドア投入が重視される方向に変わった。採用・開発を見送ったJRの判断は適切だったのだろう。
ところで、現代ではこういった実験的な車両が製造されること自体がほぼ皆無だ。あらかじめテストして各所を整えたうえで製造されるから、だそうなのだが、これはオタク目線ではちょっと寂しい。だって奇抜な試験車や異端車がいた方が楽しいから...。挑戦にはお金とその後の需要などが絡んでくるから仕方ないのだけど、またそんな車が出てきて欲しいなぁなんて、思ったりするわけです(笑)。
今回はこの辺で。
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