くしろ湿原ノロッコは、JR北海道の釧網(せんもう)本線を走る観光列車だ。釧路駅から北へ約30kmのところにある塘路(とうろ)駅までを結んでいる。ノロッコの由来は"ノロノロ走るトロッコ"から。富良野にもあるそれの兄弟列車である。
乗車してきたのでレビューを綴りたい。
まずは車両紹介。ノロッコ号は、専用塗色のDE15が牽引を担当、客車は510系客車で運転されている。510系はJR北海道特有の形式だが、国鉄50系の改造から生まれたもの。現代でも50系が客車のまま使われている珍しい例かもしれない。
トロッコをイメージしているので、車内装備は簡素で簡潔。窓はなく木椅子が並ぶ客室は、豪華さ快適性という言葉からは程遠い。だがそれがこの列車の醍醐味。自然の声や鉄道の足音に耳を傾け、風や空気の温度、薫りを存分に楽しむのが、この列車の醍醐味なのだ。
とはいえ、そう思わない人もいるかと思う。敢えて簡素にしなくても良いじゃないかと。
木椅子ではなく普通の座席が並ぶ一般客車(こちらは別記事にて後日UPする予定)もあるので、そちらを利用すると良いだろう。ノロッコ号の楽しみ方をムリに押し付けないのが良いところ。
木椅子と言ってもいたって普通のベンチ。向かい合った座席と窓側を向く座席の2パターンあり、窓側座席はなんと転換ができるという優れもの。
指定した座席に着席し、いざ湿原へと踏み込んだ。
釧路湿原は、国内最大の湿地だ。人間が活動できる範囲は少なく、希少種や絶滅危惧種が繁殖している。観光の手段は、船か鉄道か徒歩。鉄道が1番手軽で簡単だろうか。
湿原に入ると、列車はところどころ低速で"ノロノロ"。湿原をじっくり観察することができる。
浅い水で覆われた土壌に、背の低い植物たちが生い茂り、それが広範囲に広がっている。とても静かで、音を発しているのはおそらく人間だけだろう。空気が澄んでいるようにも感じられた。
訪問したのは8月だが、気温は10℃台。風が涼しくて心地が良かった。
列車にはガイドさんが同乗していて、湿原のご案内やタンチョウスポットをアナウンス。この日もタンチョウを生で見ることができた。
僕の個人的な話で恐縮だが、今回初めて湿原を訪れた。テレビや映画でしか観たことない自然環境が漠然と広がっていることに、少なからず衝撃と感動があった。生い茂る緑と水辺という組み合わせや夏でも過ごしやすい気候というのもグッドポイント。ぜひまた訪れたいスポットとなった。
無論、列車旅としても大変良かった。"ノロノロ"走るのは湿原を楽しむのにぴったりだし、"トロッコ"の原始的ながら開放感ある乗り心地はありのままの自然を堪能するのに適していると思う。
ガイドさん添乗なのには驚いたし、車内販売のグッズも充実していた。名物らしいノロッコプリンは本当に絶品。塘路駅のカフェもとても良かったので、併せておすすめしたい(これも別記事で軽く紹介する予定)。
再訪したい・人に勧めたい土地・列車ができたのは久しぶりだなぁ。そこそこの満足感を得て釧路へ戻ったのでした。
今回はこの辺で。
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