磐越西線の「SLばんえつ物語」。1999年から運転される人気列車だ。
C57型蒸気機関車が12系客車7両を牽き、新津〜会津若松を往復するこの列車。現在走るSL列車の中では運転距離、牽引車両数ともトップ。長年継続して運転されている稀有な列車なのであります。
モダンな雰囲気のカラーはオコジョ塗装と呼ばれるもの。2度目のリニューアルが行われ、2013年頃からこの塗装になり、グリーン車を新設。
今回は、そんなばんえつ物語号のグリーン車に乗ってきた。車内探検・乗車記を綴る。
♢車内データ(2024年現在)
座席:2+1配置
シートピッチ:1200mm程度
快適装備:リクライニング
テーブル:ひじ掛けに収納
コンセント:無
車内販売:無(4号車に販売カウンター有)
内外装とも大正モダンなテイストで統一されたオコジョ車両。車内は絨毯敷きとスェード生地の座席が並び、オレンジの照明が暖かい雰囲気を醸し出している。とってもオシャレだ。
12系なのに車内が新しい...のは、車体だけ新製して載せ替えたから。12系客車のオリジナル要素を期待するとガッカリするかもしれない。それだけグリーン車に力が入っているということだろう。
座席。
肉厚で幅があり、大型のどっしりした座席が用意されている。シートも肘掛けも幅広で、3列配置という贅沢な仕様だ。椅子というより、完全にソファ。
座り心地はフカフカ...とまではいかないけど、ちょっとした沈み込みはある。ちょっと硬い感じのソファ席な印象。
また、背もたれは窪みがあるけど、ほぼストレートと言っていい。枕もなく、背中の形に沿って曲がっていないため、どうも姿勢を取りにくかった。レッグレスト・フットレストもないし...。正直、長時間乗車には厳しい。
まぁ、グリーン車と言っても普通車グリーン料金だし、利用者限定の展望車、4号車にはラウンジカーもある。気分に合わせて座り変えれば良いかな。
ラウンジ利用権とセットだと考えれば充分だけど、見た目に対してこの快適性はガッカリ。客車にコンセント全席配備を求めるのは酷だとしても、座った時の心地よさは欲しかったな。
あと、窓が嵌め殺しで開かない。これはちょっと意外でした(笑)。空いた方が風情あって好きなんだけども...。SLサウンドと各所から煙が舞い込んでいたので、風情に欠けることはなかったです。
こちらはグリーン利用者専用の展望ラウンジ。
ガラス張りの展望室は、景観抜群。乗車した新潟方面行きはSLが目の前、逆方面なら後方展望が楽しめるだろう。今回は、景色とSLの迫力を同時に楽しむことができた。
また、SL関連の品も展示されている。列車の中とは思えないようなインテリアで、とてもオシャレだ。
乗車した列車は、新津行きの下り列車。
15時27分に会津若松駅を発ち、18時43分に新津駅へ到着する。SL列車に3時間を超えるロング乗車ができるのは嬉しい。貴重な機会であります。
乗車中は、機関車の息遣いや機械的な動き、連結の遊びによる揺れや空転など、全てが伝わってきた。スムーズで快適、ではないが、それこそが醍醐味だろう。
また、日が沈み暗くなると、車内の雰囲気が一変。インテリアの陰影がはっきりと表れ、間接照明が優しく車内を照らす。SLの息遣いと客車らしい軋む音が聞こえ、ゆったりした時間が流れていた。
磐越西線の別名は「森と水とロマンの鉄道」。ロマンとは何かわからないけど、旅情をかきたてるような演出は大歓迎。とても心地良い乗車旅を楽しむことができ、総じて大満足な乗車になりましたとさ。