常磐線特急のE657系は、普通車の評判が良い。確かに普通車としては完成度が高く、洗練された快適さが得られる座席で素晴らしかった。
反対に、グリーン車はあまり評判が良くない。なぜ評判が良くないのか、事前知識0で乗車し自ら体験してみることにした。
切符を購入し、始発駅から列車へ乗車する。
グリーン車がある5号車へ向かい、列車に乗り込む。夜の勝田発のときわ号だったためか、発車の時点で乗客は自分だけ。せっかくだからゆっくり車内観察をさせていただくことにした。
車内全景。
暖色系照明、カーペット敷の床、木目調の扉と、グリーン車として一般的かつ落ち着いた雰囲気が漂っている。前任の常磐特急、651系スーパーひたちのグリーン車は2+1の3列配置だったが、時代の流れか定員増加目的か、2+2の4列配置。これは近年のJR特急あるある。
5号車は1両まるごとグリーン車の設定だが、多目的室やお手洗い、車内販売準備室などがあるため規模は半室グリーン車程度と小さめな空間に。これは先代の651系の4号車グリーン車やE653系の4号車(こちらは普通車)と同じような構造。だが2+2配置にも関わらず、座席数は651系グリーン車から4席ほど減らされている。定員増加目的で4+4配置かと思ったけど...他の設備に場所を取られたから4列配置にした、と言ったほうが正しいのかもしれない。
座席。早速着席してみる。
座り心地は、普通車よりも若干弾性があるかなくらいの印象。フカフカ感や包み込まれるような感覚ではなかった。グリーン車らしくシートピッチは普通車より広く、フットレストを使わなければ前の座席の下にも足を伸ばせる。リクライニングも深くまで倒れこんでくれた。
ひじかけにはコンセントが備わっていてありがたいが、ひじ掛けそのものはチープめ。足元の装備は、T字のバーのフットレストのみ。グリーン車にT字フットレストだけって...しかもこのT字フットレストって普通車でも見かける装備だと思うんだけど...。
うーん、これは首をかしげたくなるのもわかる。グリーン車にしては装備が寂しいし、座席の幅やひじ掛けなどはグリーン車らしい重厚感が足りない。座り心地も普通車と思い切り違うというわけでもない。たたでさえ特急のサービス縮小が行われているのに、これではちょっと...。サービスについてはコロナや需要減が影響しているため仕方ないとしても、もうちょっと”グリーン車に乗ってる感”が得られる装備や快適性が欲しいところ。普通車座席の開発で燃え尽きてしまったのだろうか。
個人的な話だが、4列シートの在来線グリーン車に乗ったのはこれが初めてだった。よって他の4列シートグリーン車と比較することはできないのだけど、全体的にこんなものなんでしょうか?E657系については座席のグレード分けが上手くいっておらず、割高な印象を受けた。
枕は可動式。これも近年の特急には一般的で普通車にも採用されているもの。
普通車座席より枕横の張り出しはあるものの、包まれてる感やプライベート感は少なめ。
今回利用した7番座席は車いす対応座席の後ろの列であるため、通路側の席では背面テーブルが使用できない。そのためひじ掛けにミニテーブルが収納されている。
窓際には荷物用のフック。ブラインドは普通車と同じものに見える。
ブランケットサービスは健在。長時間乗車もあり得る車両なので、このサービスは続けてほしい。
窓が大きいため車窓は楽しめた。最高速度130km/hで走る特急は乗っていて爽快です。編成の真ん中に位置するため駅での利用もしやすいし、同じ車両に大きい化粧室がある点も良い。比較的新しい車両だからか清潔感があり、昔の車両と比べて揺れも少ない。
このようにちゃんと利点もあるし、もともとE657系は基本の座席が良いからめちゃくちゃ良くないということではない。だけどもうちょっと良い座席が良かった。普通車であの良さなら、グリーン車に期待をしてしまうのは当たり前の心理。その期待には応えられていないなという印象だった。
結論、普通車とあんまり変わらないじゃない...。グリーン車に乗る目的ではリピートはしないだろう。
追記
客層を分けるためでは?というご意見をいただいた。改めて考えれば、そう言われると納得できる部分も多い。ある程度の快適性は確保した座席に、普通車の喧騒から離れたい方々が追加料金を支払って乗車する、というスタイル。なるほど確かにすみわけという意味で差別化ができると言えるし、利用頻度が高いビジネスマンには好まれそうだ。
仮にそうだとしても、それはビジネス特急だからこそできること。一般客やオタクが利用する際は、普通車を利用する方がお得で快適だと感じました。
今回はこの辺で。
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