1日に20本以上が走っている北斗号のうち、キハ281系の充当する列車は6本のみととても少ない。充当されているのは、北斗4、5、7、14、16、19号だ。キハ281系自体、計27両しか製造されていない希少車種だから仕方がない。
今回行った渡道旅行ではもともと乗車予定はなかったグリーン車。車両は9月引退、僕にとってはおそらく最後の乗車チャンス。せっかくの機会だからということで予定にねじ込み。切符を購入し、ホームへ向かった。
キハ281系のグリーン車は2号車にある。
現在主力のキハ261系1000番台ではグリーン車は1号車の設定。つまり、キハ281系の引退で「北斗 2号車グリーン」も見納めになってしまうだろう。
さて、いよいよキハ281系が入線。早速乗り込んだ。
グリーン車全景。
大型のシートが2+1の座席配置で並んでいる。また、オレンジ系の照明、絨毯やモケットなどが布地であること、ブラウン系で統一されたインテリアなどから、シックで大人の雰囲気ながら暖かみある印象を受ける。
特筆すべきは車両の真ん中で座席配置が変わることだろうか。
この座席配置は初めて見た。過去にもこういった座席配置の車両はあったらしい。平成の遺物(?)的なものかもしれない。
この配置の利点は、1人席、2人席とも海側座席がある、ということ。つまり、海沿いを走る北斗号の車窓を、1人でも2人以上でも楽しめる用意があるということ。これはグリーン車サービスの心遣いなのだろうか?だとすればとても素晴らしい。
ちょうど配列が切り替わる部分の座席では、座面裏装備が使えないようになっている。でも装備が偏らないように用意はしたよと言いたげにオブジェが立っていた(笑。
さて座席を見てみる。
このグリーン座席は、2010年以降のリニューアルでJR北海道管内の多くの列車に採用されたもの。大きくリッチな座席で、こういうのがグリーン車だよなと改めて思わせられる。
枕は可動式。枕ごと動かすとスコンと音が鳴る。このタイプは初めて見たが、どういうギミックなのだろう。ともかく、好きな位置に枕を調整可能だ。
後述する"動くフットレスト"と合わせて、お好みの体制を確保することができる。
座面裏には各装備類の説明が載っている。
ドリンクホルダーは機構が少し凝ったものだった。コンパクトかつしっかりとボトルを支えられるだけの剛性もあって、なかなか良い。
フットレスト。右側のペダルを用いて高さを調整できるというもの。これも初見だった。
窓際にはフック、遮光はブラインドではなくカーテンで行う。
主な装備はこれくらい。では着席してみよう。
着席すると、衝撃。まず何と言っても座り心地が大変よろしい。
座ったときバフッと受け止めてくれ、程よく沈み込む。確かに包み込まれている感覚があり、椅子というよりソファに近い。椅子型のクッションとも言えるかな。
デメリットはクッションが柔らかい分、ちょっとだけ埃っぽいかも、ちょっとだけ。でも長く座ってもお尻が全く痛くならない素晴らしい座席だ。各装備類も充実していて、グリーン車に乗っている優越感を存分に味わわさせてくれる。
リクライニングを倒してみる。深く柔らかい座席の快適性がより一層増した。
外から見ると思い切りリクライニングしているようには見えないけど、座席が深いため横になりすぎているのではと軽く錯覚しそうなる。マッサージチェアに座っているかのような心地よい状態で体を預ける。あぁ快適。個人的にお気に入りの座席の1つとなった。気に入った座席は自宅に欲しいなと思ったりするが、座席は廃品以外は一般販売されないのが基本である。ソファとして売ったら売れそうだけどなぁ。
アテンダントによるグリーン車サービスはなし。寂しいけど、時代の流れと経費削減で仕方がないのだろう。
座席の快適さに感動している間に、列車は終着駅へ。馴染みがない車両だから悲しみとかは正直ないけど、最後に乗れてよかった。楽しい乗車でした。そしてお疲れ様でした。
今回はこの辺で。
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