お召列車の特別車両の話。
主に天皇皇后両陛下が利用するために運転されるお召し列車。
明治時代から特別列車を用意して運転され、車両もそれ専用の車両が用意されてきた。
現在、公式のお召列車用車両としてあるのが、JR東日本のE655系。国鉄から使われてきた客車「お召1号編成」の後継として、2007年にデビューした。
先代のお召列車「1号編成」では、陛下が御乗車になる"御料車"、関係者が乗車する"供奉(ぐふ)車"で構成されていた。
後継のE655系ではそうした区別がなく、御乗用の"特別車両"が仕立てられ、あとは一般車(とはいえ全車がグリーン車)という区分になった。
その"御料車"改め"特別車両"が「E655-1」である。
E655-1は御料車と同じ役割を担う車両だが、特別車両という呼び名になっている。
E655系は我々一般客の乗車もできるが、E655-1は皇室とその関係者のみ。お召し列車運転関連でしか走らず、普段は東京総合車両センターの御料車庫にて保管される。
また、E655系の所属は尾久車両センターだが、この特別車両のみ東京総合車両センターに配置。御料車庫で眠る歴代のお召し列車車両とともに管理されている。
写真は、検査のために総合車両製作所へ回送される際の1コマ。側面の光沢ある塗装に対してツルツルな妻面が対照的だ。
特別車両の真ん中にある窪みは、天皇家の菊の紋章を取り付けるためのもの。お召し列車運転時には、進行方向側の先頭車と特別車両に菊の紋章が取り付けられる。回送やお召し列車前の試運転など、お召し任務以外で紋章が取り付けられることはない。
形式番号は妻面に表記されている。
車両の形式のみが振られており、"クハ"や"モハ"のような形式称号はない。もしも形式称号を付けるなら、"スロ"に当たるだろうか。
表記類を妻面にまとめ、外観の美しさに一役買っている。塗装や足回りなど、全てが常に美しい状態に、光沢があってとても綺麗だ。
車両は防弾ガラス、車内はもちろん非公開だ。お召列車運転時以外はブラインドが降ろされる。
写真はすべて2012年のもので、現況とは異なるかもしれないのであしからず。
お召車両の貴重なシーンを見られたことが幸運だったが、やはりお召列車での活躍を見たいものです。
今回はこの辺で。